鏡を磨いて ― 山花ひとりがたり

川端康成を始めとする日本文学や、日本思想をテーマに、徒然に考えてみたことを綴ってゆきます———。

漱石、令和に警鐘を鳴らす―『私の個人主義』

 「わたしの本棚」では、その月に読んだ本、もしくはどうしても色々綴りたくなった本について感想文や紹介文などをあれこれ記していきます(注:ネタバレがあるかもしれません、ご容赦ください)。ただし、今回はやや評論みたいな口ぶりになっているので、「想いを馳せる」のタグも付けています。

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妙好人の軌跡をたどって in 五箇山

 青春18きっぷの最後の一日を消費したく、先日富山県の氷見・五箇山へと旅しました。きっぷの元を取るという目的もあったのですが、一番の目的は、妙好人・赤尾の道宗」について知ることです。これまで鈴木大拙『日本的霊性や藤吉慈海の論文を読んで頭で理解していましたが、この旅で一つ勉強になったことが有りました。

 今回のテーマは、五箇山日帰り旅で感じた「浄土と禅の共通点」です。

 

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境界線を取る — 岡潔『春宵十話』

 『はじめに』という駄文を綴ってからこの文章を掲載するまで、文筆家のようで良い気分になっては、書く内容につまってすぐに現実に引き戻される、ということを繰り返した。今回は肩慣らしのつもりで、先日Twitterにて相互の方と談笑したときにこぼした、岡潔の『春宵十話』にまつわる体験談を語ってみる。

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