漱石、令和に警鐘を鳴らす―『私の個人主義』
「わたしの本棚」では、その月に読んだ本、もしくはどうしても色々綴りたくなった本について感想文や紹介文などをあれこれ記していきます(注:ネタバレがあるかもしれません、ご容赦ください)。ただし、今回はやや評論みたいな口ぶりになっているので、「想いを馳せる」のタグも付けています。
続きを読む輝かんばかりに広い心 ― 『生きてさえいれば』
川端文学と禅との親和
知り合いの少年の激励会に参加するため、少しばかり帰省していました。親が世話になっている女性に唆されてその少年の旅行に同行することになったのですが、それについては機会があれば書いてみたいと思います。
大阪行のサンダーバードで私は『谷崎潤一郎・川端康成』(三島由紀夫)を読了いたしました。本書は、川端康成という人物の徹底的な解剖がなされており、「いかに川端が唯一無二の人物か」「いかに三島が川端を敬愛していたか」がわかる実に贅沢な内容です。新潮文庫の『伊豆の踊子』以来すっかり三島の解説の虜になっていた私には、とてもいい買い物でした。
さて、今回は三島由紀夫の川端論から私が感じた「川端文学と禅との親和」についてのお話です。
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