鏡を磨いて ― 山花ひとりがたり

川端康成を始めとする日本文学や、日本思想をテーマに、徒然に考えてみたことを綴ってゆきます———。

読書人の道しるべ—『ひたすら面白い小説が読みたくて』

 本当にお久しぶりです。藍山花です。

 少し精神を病み読書など趣味全てから遠ざかっていたのですが、ようやく文字を読むことに抵抗が無くなってきたので、思い切って何か文章を書いてみることにしました。書き始めてみると、今まで心の中で鬱々と溜まっていたものが、一文一文に感情を入れるごとにみるみる削り取られていく感覚を味わい、「ああ、今の気持ちを書き出すことって、大事なのだな」としみじみ感じました。

 今回は、一年ぶりの活字本になった、児玉清さんの『ひたすら面白い小説が読みたくて』の感想を綴りたいと思います。

 

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つれづれに川端康成について書く Ⅰ

 最近めきめきと勉強意欲が沸いてきたおかげで、久しぶりにブログに寄稿することにしました。原点に返ったつもりで、今回は私の読書好きのきっかけである、文豪・川端康成を好きになったきっかけについて綴りたいと思います。題して、「つれづれに川端康成について書く」です。

 

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漱石、令和に警鐘を鳴らす―『私の個人主義』

 「わたしの本棚」では、その月に読んだ本、もしくはどうしても色々綴りたくなった本について感想文や紹介文などをあれこれ記していきます(注:ネタバレがあるかもしれません、ご容赦ください)。ただし、今回はやや評論みたいな口ぶりになっているので、「想いを馳せる」のタグも付けています。

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輝かんばかりに広い心 ― 『生きてさえいれば』

 「わたしの本棚」では、その月に読んだ本、もしくはどうしても色々綴りたくなった本について感想文や紹介文などをあれこれ記していきます(注:ネタバレがあるかもしれません、ご容赦ください)。

生きてさえいれば (文芸社文庫NEO)

生きてさえいれば (文芸社文庫NEO)

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妙好人の軌跡をたどって in 五箇山

 青春18きっぷの最後の一日を消費したく、先日富山県の氷見・五箇山へと旅しました。きっぷの元を取るという目的もあったのですが、一番の目的は、妙好人・赤尾の道宗」について知ることです。これまで鈴木大拙『日本的霊性や藤吉慈海の論文を読んで頭で理解していましたが、この旅で一つ勉強になったことが有りました。

 今回のテーマは、五箇山日帰り旅で感じた「浄土と禅の共通点」です。

 

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川端文学と禅との親和

 知り合いの少年の激励会に参加するため、少しばかり帰省していました。親が世話になっている女性に唆されてその少年の旅行に同行することになったのですが、それについては機会があれば書いてみたいと思います。

 大阪行のサンダーバードで私は谷崎潤一郎川端康成』(三島由紀夫を読了いたしました。本書は、川端康成という人物の徹底的な解剖がなされており、「いかに川端が唯一無二の人物か」「いかに三島が川端を敬愛していたか」がわかる実に贅沢な内容です。新潮文庫の『伊豆の踊子』以来すっかり三島の解説の虜になっていた私には、とてもいい買い物でした。

 さて、今回は三島由紀夫の川端論から私が感じた「川端文学と禅との親和」についてのお話です。

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「遊ぶ」心で

今週のお題「〇〇からの卒業」

 今年卒業される学生の皆さん、御卒業おめでとうございます。とはいえ学生の中には、まだ後期試験の結果が判明しておらず心の底から笑えない、という方もいるでしょう。「人事を尽くして天命を待つ」という言葉もあります。出せる力はすべて出したのだと、胸を張りましょう。

 さて、新年度には環境の変化がつきものですね。今回は、環境の変化についてあれこれ叙してみたいと思います。

 

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